雑貨屋さんの不思議 -雑貨店に言いたい! 聞きたい! –

雑貨店売場VMD20211016講師のコラム&エッセイ

雑貨売場はツッコミどころ満載?

「雑貨屋さんの店員って…」「雑貨の仕入れ先は…」。仕事柄、聞かれやすいのだが、アパレル業界を含む他の業界、商品分野の方から本当にいろいろと聞かれる。どうもツッコミどころ満載のようで…。今回は(趣味、生活)雑貨店に関してよく聞かれる(言われる)質問とそれに対する回答を紹介する。確かに不思議に思うだろう、と感じる内容も多々あり、業務のヒントとしてありがたく思っている。 富本雅人

■なんで接客しないの?

「『いらっしゃいませ』の入店時のあいさつがなかったり、売り場で聞きたいことがあってもなかなかスタッフがつかまりません。サービス業の自分としては大変気になります」(美容関係)。

回答:引き算の結果の接客スタイル。

どの小売店も同じかもしれませんが、人件費圧縮のため店頭は業務量に比較してスタッフは少なめなところが多いでしょう。時には入店時のお声がけさえもできない店もあるかもしれません。論外ですね。

一方、スタッフの積極的な接客、アプローチが(でき)ないことが結果的に利点となっている場合も。来店客が自由に店内を見てまわり、買い物できることが雑貨売り場の大きな魅力と言われています。図らずも効率を追求し、サービスを引き算せざるをなかった結果が、お客様の心地良さにつながった現象と言えるでしょう。ただ、問い合わせ時や会計時の接客対応は他業種以上に熱心にやっているところが多いと思います。

■いろんなものを売ってる?

「私のお気に入りの雑貨店。お菓子があったり、文具があったり、この間はキャンプ用品までありました。私は楽しいけど」(書店社員)。

回答:お客様が楽しければ(そして買い上げにつながれば)いいんです。

商品分野の垣根を軽々と越えて、何を売ってもいい(と支持される)のが雑貨屋さん業態。自店テーマ、お客様のニーズに合えば貪欲に様々な分野の商品を取り入れます。文具、食器、アクセサリーと産業分類で考えるとハチャメチャな品揃えですが、〝賢い〟店舗は、売り場を一般客が見てもどんな人に向けた店なのか。どんな提案をしたいのかがしっかり伝わるはずです。質問者が「楽しい」と感じていることがその証(あか)しでしょう。雑貨店に限りませんが、各規制に違反しなければ、自店のテーマに沿うものを分野問わず何を扱ってもいいんですよ。

■商品説明のPOPが多い?

「雑貨店の手書きで書かれているPOP(店頭広告)。見るのは面白いけど、作るのは大変そう」(建築関係)。

回答:接客不足をPOPで補う。

POPは人手不足を補う販促ツール。全商品に細かな説明POPがついているお店もあります。1秒でも早くPOPを添付して商品を店頭に出したい。素早く制作できれば販売機会を逃さないなどが手書きが多い理由です。手書きか否か以前に、商品の情報や提案がしっかりと伝わりお客様にアピールできていればいいと思います。

■利益率が高い?低い?

「粗利が少なくて大変」(元SPAアパレル店長)。「そんなに仕入れ値が低いんですか」(食品卸営業)。「原価率が高い」(飲食店経営)。「全商品が買取なんて驚き」(百貨店幹部)。

回答:比較する業界によって違う。

えーいうるさい!(笑)と言いたくなるくらい、雑貨店の利益構造や取引条件相場に意見を持つ人が多いのです。しかも、「高い」という人がいるかと思えば、一方で「低い」という人もいて、各業界の事情も透けて見えおもしろい。半額に値下げしても損しない高い利益率。預かった(返せる)商品を売るので在庫リスクがない取引形態。販売価格競争が激しくギリギリの小売価格設定で小売店に負担(少ない粗利)を強いる業界など。洗練された(進歩した?)業界では独特、複雑な取引契約(例えば、書籍流通など)があるのでしょう。

中小の雑貨店の多くがほぼ買取での仕入れ、中間を省き商品企業と直に取引することを理想とするなど、素朴でシンプルな取引形態です。掛け率なども様々なバリエーションがあり一概には言えませんが、全体にわかりやすく、ややこしい商習慣やしがらみが少ないシンプルかつ健全な業態だと感じます。

■もうかってなさそう?

「雑貨さんってすぐつぶれるイメージです」(美容院経営)。

回答:人気の業態だから目立つのかも。

同じように人気の起業業種として、ファッションセレクト店、カフェなどもすぐつぶれるイメージだとよく語られます。あっ、美容院もですね。筆者の周りにはいませんが、確かに個人店で雑貨店を趣味道楽的にはじめて、短期で廃業する雑貨店は目立ちますね。雑貨店のみの公的なデータがないので、あくまで筆者の体感ですが、俯瞰すると他の小売店業種、業態と比較して雑貨店の廃業率が特段に高いとは感じません。

20年前から個人の新規店開業希望の方を事業計画策定から指導する講座を行っていますが、開業されてから売り上げ不振が理由で廃業した方はほぼいません。「私もやりたい、やれそう」「こんな店、簡単」という親近感が湧きやすく目につきやすい業態ということで、良いことも悪いことも過剰にクローズアップされているように思います。

繊研新聞スタディルーム


 

とみもと・まさと 94年から雑貨ビジネスコンサルティング&プロデュースを行う。講座「雑貨の学校(R)」主宰講師。著作『雑貨の教科書』シリーズ(SBクリエイティブ刊)、『雑貨力』(ビジネスガイド社刊)ほか。「雑貨の学校(R)」とは、雑貨コンサルタントの富本雅人が主宰する99年スタートの雑貨店、ライフスタイル店など雑貨を販売する店舗の創業、経営のためのスキルアップ講座。これまで多数の店舗オーナー、スタッフを育成している。https://zakka.org/school

雑貨コンサルタント 富本雅人

2021年10月26日「繊研新聞」studyroom掲載文に加筆修正のうえ掲載 2024年1月22日

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