どんなイメージ、デザイン、テイストの雑貨か
“センスが良い”“おしゃれな”雑貨ショップ開業志望者ならば、ここはしっかり考えてもらいたい。
雑貨自体のデザインやスタイルに関してはどうだろうか。人気の高いおしゃれな雑貨ショップでは、イメージ、スタイルの統一感は必須項目だ。
近未来的なモダンなデザイン、素朴な手作り感覚のもの、懐かしい感じのデザインなど。どんなデザインのものを扱いたいのだろうか。
雑貨のイメージ、スタイルとは
スタイル、イメージ、テイスト(テースト)とは、その色形質感などのデザイン、素材の統一感のこと。ここでは長年基本のスタイルとして考えられている代表的なものを紹介する。
モダン
キーワード | 都会的、シャープ、メカニック、大胆な、プロ感覚、ハイテク、生活感がない。 |
カラーコーディネート | 白や黒、グレーのモノトーン(無彩色)。メタリックカラー。 モノトーンや、メタリックカラーをベースにポイントにビビットカラーでユニークな印象。 |
素材 | スチール、ガラス、金属、光沢のある緻密な石素材、 硬質なイメージのあるものが中心。 |
柄 | 無地中心。 柄がある場合は無機的で大胆なもの、ダイナミックなストライプなど。 |
フォルム(形) | シャープで直線的なフォルム、ハードな感じのするメカニックな形。 |
対応スタイル | イタリアンモダン、アールデコ、北欧スタイルの一部、ハイテック他。 |
イメージ |
ナチュラル
自然素材を中心にした、あたたかさのあるスタイル。話題になったプロヴァンススタイルなど、ヨーロッパのカントリースタイルもこの範疇。
キーワード | 自然な、やすらかな、素朴な、家庭的な、平和な。 |
カラーコーディネート | アイボリー、ホワイト、ベージュ系や緑系統を中心とした自然の植物、 手を加えていない感じの自然素材を連想させる色。 濃淡(グラデーション)による配色が基本 |
素材 | 素材の質感をそのまま生かした、手をあまり加えていない素材。 麻、綿などの自然素材、素朴な焼き物など。 |
柄 | 無地や無地調の柄。自然の木や植物をモチーフとした優しい感じの柄。 |
フォルム(形) | 人工的加工を意識させない、自然な丸みのある形。手になじむフォルム。 |
対応スタイル | プロヴァンススタイル、シェーカースタイル、和スタイル、北欧スタイルの一部他。 |
イメージ |
カジュアル
開放感のあるくつろいだ気取らないイメージ。気ままでにぎやかなイメージ。ポップな感覚。
キーワード | 楽しい、にぎやか、気軽な、かわいい、ポップな、ヤングマインド。キッズ向けも |
カラーコーディネート | ビビッドカラーが中心。白とコーディネートすることですっきりとしたイメージに。 |
素材 | プラスチック、ゴム、紙、木綿など手軽、簡単な素材。 |
柄 | 大振りなチェックやストライプ。若々しいパターン。 コミック調、キャラクターデザイン的なもの。動物などをモチーフとした柄。 |
フォルム(形) | 遊びのある自由かつ単純な形。おもちゃ感覚の動物などをモチーフとしたもの。 |
対応スタイル | ポップアート、アメリカン50’s、キャラクターグッズ一般他。 |
イメージ |
エスニック
エスニック(ethnic)とは民俗調という意味。手作り感覚。味わいのある素材や柄で荒削りなイメージのあるものも。
キーワード | ワイルドな、ハンドメイド感覚、ダイナミックな、カントリー調、アウトドア感覚。 |
カラーコーディネート | ベージュや茶色を中心としたアースカラーでの配色。ダークな色調も多い。 |
素材 | 厚手の木綿、陶器、鋳物、実用的な感覚の素材。自然材。 |
柄 | パッチワーク、民俗調の柄、ラフな木目、動植物をモチーフとした手描き調タッチの柄。 |
フォルム(形) | 厚み、丸みのある形、手作り調の不定形。 |
対応スタイル | オリエンタル、ジャポニカ、現代民芸調、サファリ、アジアン一般、サンタフェ他。 |
イメージ |
その他のイメージ
イメージ | 特徴 |
シンプル | 無駄な装飾がない、さっぱりとした若々しいイメージ。 クリア、清潔。白を中心に寒色系(ブルー系)を組み合わせた配色のものも。 プラスチック、磁器、シルバーなど起伏のない素材。 直線を基本とした簡素、単純な形。 |
ロマンチック | ソフトで繊細な感覚のもの。少女趣味。 パステル調のピンクを中心とした柔らかい配色。 シフォン、オーガンジー、レース、すりガラス、 白木、籐、フリル、ドレープなどの曲線使い。 |
エレガンス | 大人の女性をイメージさせる品のあるものが代表的。 繊細、洗練。グレイッシュカラーを心にした配色。 シルク、スエード、薄手のガラス。微妙な凹凸のある繊細な形。 |
クラシカル | 伝統を背景とした格調高いゴージャスなテイスト。 重厚、豪華。茶系統を中心とした重厚な配色。 レンガ、重厚な皮革、ローズウッドなどの伝統的な柄や文様。 がっしりとした安定感のある丈夫な素材。 |
価格帯はいくら~いくらか
ショップ開業志望の人に「商品はいくら位のものを扱いたいの?」と聞くとほとんどの人から「手頃な価格のもの」という答えが返ってくる。
「じゃあ、手頃な価格ってマグカップだといくら位?」と聞くと、「数百円」「千円未満」「数千円くらい」など、人によって違う価格帯の答えになる。
あなたが扱いたい雑貨はいくら位のものだろうか。全体の価格帯で考えにくい場合は、アイテム別の価格で考えてみて欲しい。例えば、ノートならいくら~いくら、掛け時計ならいくら~いくらなど。
どんなストーリー(蘊蓄(うんちく))があるものか
「雑貨の良さって? -雑貨ならではの特長」でも話したが、どんな雑貨も付加価値=ストーリーがあると思っている。
ストーリーがないものは、雑貨ショップの扱い商品にしにくいはずだ。デッドストック、ビンテージ、限定生産品、作家ものなど。雑貨本体の価値以上に、ストーリーや蘊蓄で魅力を増す商品も多い。どういった傾向の雑貨に心惹かれるか考えて欲しい。
流行にのる?のらない?
人気雑貨ブランド「アフタヌーンティー」で有名な(株)サザビーリーグ()は「半歩先のライフスタイルを提案する」をテーマに事業展開している。尖った最先端のものではなく、半歩=少し新しいもの(商品)やこと(サービス)を提案するといった意味だろう。
あなたが今現在、好きな雑貨を1年後にも好きでいられるだろうか。
今、好きな雑貨でも1年後はそうでなくなっていると思う人。あなたは流行度の早い(新しい)雑貨を好む人ということだ。1年が3年、5年と長くなるに比例して流行度が早くなる。逆に1年後も引き続き同じ雑貨が好きだと言う人は流行度の早さ(新しさ)には、影響されにくいということだ。
流行にあまり左右されない雑貨ショップ、流行を先取りした(意識した)雑貨ショップ、あなたがやりたいのはどちらのタイプのショップだろうか。
ショップのアイディアのまとめ方、想定客層、立地、予算計画などの開業企画立案の詳細な方法に関しては「新版 はじめる雑貨屋さん」(ソフトバンククリエイティブ刊)に記している。よろしければご購読を。
「新版 はじめる雑貨屋さん」(ソフトバンククリエイティブ刊)より引用し、加筆修正しました。
「はじめる雑貨屋さん」より抜粋
雑貨ショップの基礎知識
はじめる雑貨屋さんより抜粋紹介