雑貨売場の商品陳列-どんな商品にも臨機応変–
新聞連載「富本雅人の雑貨販売のツボ6」感性だけでは無理! ?
陳列(ディスプレイ含)の基本はどんな分野の商品であっても共通だが、今回は雑貨売場特有の陳列の考え方を披露したい。
季節感と新鮮さを創りだす
実は季節感のある雑貨商品は少ない。ファッション商品のようなダイナミックなトレンドの変化もあまりない。
結果、陳列や配置(分類)の工夫で売場に季節感や新鮮なイメージを意識的に創らざるを得ない。ガラス器を集約し、その涼味を活かした初夏のVP。和の商材をアイキャッチにしたお正月をイメージさせる演出等々。
週単位でのVP(ビジュアルプレゼンテーション/一番目に付く場所、什器などでの展示陳列)の変更など、スタッフの知恵と努力の結晶が雑貨店の表情になる。
また、雑貨の新商品の発売は供給各社独自のスケジュールでほぼ不定期。取引先が10社以上ある店舗では毎週のように、新商品の提案があるはず。貪慾に新商品を試したい売場ではかなりの短サイクルで商品の入替が行われることになるだろう。
雑貨のサイズ、形は様々
売場のテーマにもよるが、ポストカードから自転車(!)までと、いろんな大きさの商品が雑貨売場では扱われている。
日々の入替や配置の変更で、どんなサイズ、アイテムの商品がそのコーナー(場所、什器)にやってきても、臨機応変に即展開できる陳列が肝心。
楽に動かせるキャスター付きや、棚の高さと枚数の変更が簡単にできる什器が望ましい。
加えて大きさ別の陳列のルールをあらかじめ決めておくことも効果的。例えば細かい物はトレーで、ポストカードは必ずラックを使用するなど。
雑貨屋さんは探す喜びも魅力
雑貨屋さん人気の理由に「掘り出し物がありそう」という声がある。
商品アイテムの幅広さや全体のボリューム感が、お客様に期待感を持たせるのだ。
たくさんの商品の中から「自分で見つけた」と思わせる陳列。例えば低単価な商品であれば、あえてラフな方法で商品陳列することなども効果的であり、カゴやボックスなどへの「投げ込み陳列」などがその代表。
熟考が必要だが、わざと導線を複雑にし、通路幅を狭め、棚の商品をわざと乱雑に陳列する人気店も存在する。
雑貨で五感にアピール
洋服の試着と同様にその雑貨を体感させることが、お買上のチャンスをつくる。使い心地を気軽に試せる、イメージできる陳列が不可欠だ。
筆記具は横に試し書きできる紙を置いておく。目覚まし時計は簡単にアラーム音が聞けるようにするなど。
試せない物はPOPでその使い心地を仔細に説明したり、コーディネートの工夫で使っている場面をイメージさせたい。
追記:コロナ対策が必要な現在、サンプル、試着、見本の展示は一考を要する。
参考ページ 雑貨屋さんのコロナ対策
多店舗展開のチェーン店は棚割表で統一
(web追記) 個店での実務と大きく違うのがチェーン店。特に本店、本部、商品部などがあり、そこにバイヤー職、VMDの専門職が存在するような店舗企業では、「棚割(表)」と呼ばれる、商品構成、陳列のマニュアルが存在する(売場別、季節時期毎(ごと)など)。
どの場所のどの什器(棚)にどの商品を何個並べるなどの基本を記したものだ(コンビニのが有名)。良し悪しは別として、チェーン店において各店舗に全ての商品の陳列計画を全て「任せる」企業は、たとえ雑貨専門店でも少ない。
理由は
・全店の商品販売計画に基づいた売上高予算を達成することが重要。効果を予測して本部は棚割を作っている(つもり)。
・店舗の統一感を出したい。自社らしさを保持。ブランディング。
・各スタッフの力量に任せることが難しいことなどである(マンパワー不足の今はこれが主な理由か)。
(高校生の新人バイトが陳列を即担当するような場合もあるので、棚割表などのマニュアルがないとできない)
開業時の商品計画にも棚割。個人店
前述のチェーン店での活用は基本的なものだが、個人店などで一つ目の雑貨店、雑貨売場を開業する場合も棚割(表)は必要だ。店頭の商品量ボリューム、商品の分類構成の内容、並びの美しさなどの確認を図や表で事前に確認することが、結果的に手間やコストの無駄を大きく省くことになる。
特に(オープン時の)在庫金額の検証で大切。いくら店頭に在庫できるか。いくつ在庫しなければならないかなどの予算計画には欠かせないものとなっている。
(雑貨コンサルタント/グループオンザリビング)
繊研新聞2010年5月18日掲載分に加筆修正
雑貨力にも詳しく
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用語
VMDとはビジュアルマーチャンダイジングの略で商品を「買いやすく」見せるための考え方と仕組みのこと。V= ビジュアルで視覚に訴える。MD= マーチャンダイジングで品揃え、商品計画という意昧。ディスプレイや陳列の際に、その商品の仕入れの理由や意昧を考えながら行うこと。
VP:ビジュアルプレゼンテーション。商品は重点の雑貨商品。一番のおすすめ商品。雑貨店、雑貨売場の入り口や店舗外から見て一番目立つ場所。テーブル什器など。例えば雑貨店、雑貨屋さんの売り場面積20坪(66平方メートル)以下の場合は1-2ヶ所。
PP:ポイントプレゼンテーション。各コーナー(中小分類)内のアイキャッチ。現状で什器やコーナー内を代表する商品。コーナーごとに設定。棚什器の上部や壁の上部。
IP:アイテムプレゼンテーション。全雑貨商品対象。各雑貨商品の見せ方(向き、高さ、付随する表示など)。全ての棚の上や什器内。
著者著作「はじめる雑貨屋さん」より抜粋
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