雑貨売り場からのヒント

ポーランド食器 講師のコラム&エッセイ
スタイル、モチーフを極める。ポーランド食器を集約 金沢epis

ファッション専門業界誌でのコラム執筆 2020年8月4日

繊研雑貨連載


こんな時だからこそ発想力

今回は売場コーナー企画、商品開拓のヒントや刺激になるキーワードや考え方を記したい。

20年以上前から、顧問先や生徒に話し続けている内容の一部だが、本紙読者の参考になるようであれば幸いだ。

画家がモチーフにこだわるように、小説家がプロットづくりに頭をひねるように、雑貨ショップは売場企画や品揃えで創造的な提案をすることが必要だ。

差別化や特色につながる独自の品揃えは店の存在感を高める。結果的に利益を追求できることが大前提だが、自店の商品や品揃えテーマから、新しい商品カテゴリーやトレンドが生まれ世を席巻することも十分あり得る。

パリのカフェのグラスの機能美に惚れて日本で提案した店主。戦前から製造の国産の素朴な日用品類を見直し「ロングセラーの名品」と新たなフレーズで提案した店舗等々。多くの先達のクリエイティブな発想の結果、今の雑貨ビジネスがあるといっても過言ではないだろう。

雑貨店は、他の業種店以上に自由な発想が望まれる業態と言える。

業務用品、専門品

Pコート、バスクシャツをはじめ、業務服が元祖の商品が多いファッション業界の皆様には「釈迦に説法」だろうか。

カフェ、ホテル、駅、エアライン等の業務用品。各専門職の愛用道具。食器、調理器具、タオル、バッグ、時計……等。業務用ならではの機能、デサイン、ストーリ一(背景、蓮蓄) が大きな魅力になり人気があるのはご存知だろう(ワークマンの人気も同様だ)。

デザインや機能性、価格も商品としての大切な要素だが、「どんな背景」を持った商品かということが、強いセールスポイントとなる現在。各業務用、専門品分野にはまだまだたくさんのヒントが眠っていそうだ。

飛行機ノベルティ

例えばエアラインのアメニティやノベルティ

年齢性別を変えてみる

昭和の時代には中高年の楽しみだった「カラオケ」。10代の若者が日常的にカラオケに通う等、当時は誰も想像できなかった。

雑貨商品でも、大人の為のものが子供にも普及したり、女性向けのものが男性に受け入れられていたり、ということがある。今あるもの、みんなにウケているものの、対象者を変えてみるのはどうだろうか。男性用のメイクアップ用品(既に多数ある)、大人のための「勉強」道具、人間の生活雑貨をペットのために提案したらどうか等、対象を変えるだけで新しい品揃え(商品分野)が生まれる。

場面を限定して

「旅行」「入浴時」「婚約期間」等場面を想定して品揃えを考えることもヒントに。現在の品揃えの基本中の基本である。その場所やタイミングで使うもの、こだわりたいアイテムを想定しすることは新たな品揃えの発見につながる。

このコロナ禍のステイホーム場面で思いがけない消費者のニーズ、ウォンツを実感された人も多いのではないか。

プレゼントとギフト

一般のスーパーやコンビニ、百円ショップのほとんどの商品は自宅用。それら日用品や毎日の食料品をプレゼン卜として選ぶ人はほぼいない。友人の誕生ギフトをスーパーで買う人、知人へのお礼の品をコンビニで堂々と買う人は皆無だろう。

対して、雑貨ショップの商品は、すべてプレゼントとして買っていただけるものだ。相手の好みはあるだろうが、価格が低くとも「気の利いた、酒落た」ギフトになるものばかり。

ご承知のようにプレゼントをする場面は多い。卒業祝い、引越し祝い、誕生日、パーティー土産等。大きな市場であり、まだまだ有望なビジネスチャンスがある。そこであらためてプレゼン卜やギフ卜をテーマに品揃えを考えてみる。例として、

・異性へのプレゼン卜。

・自分なりのラッピングができる材料やキットを商品提案。

・幹事等決められた予算のある人向けの価格帯別商品の提案等。

自店のお客様「ご自身用」の商品だけでなく、お客様が贈り物をする場面を考えると、様々な商品が浮かんでくるはずだ。

コロナ禍で思うように人と会えない現在、プレゼントを贈って親睦を深めようとする人も多い。

スタイル、モチーフを極める

うさぎ雑貨のお店

例えば一つの動物に絞る

何でもありのファミレス。大変便利だが、たいていの場合、昧はほどほど。それに比べて、和食料亭、イタリアンレストラン、インド料理店等の各専門店では本格的で昧も良いことが多い。

雑貨ショッブがデザインやスタイル、カテゴリーを極め、その分野の専門店として品揃えを充実させることも考えられる。

「北欧デザイン」「ナチュラルスタイル」「猫雑貨」「ハワイアン」等エリアや時代、スタイル、モチーフ等で定義された商品の充実をうたったショップはすでにたくさんある。

人気の高いそれらのカテゴリーの「専門店」といううたい文句と評判は、そのファンにはたいそう魅力的である。

今後有望なスタイル、デザイン、モチーフ等をいち早く見つけ、その「専門店」として商品展開を行うことも十分考えられるだろう。

2020年8月4日Senkenshinbun_StudyRoom より

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富本雅人

とみもと・まさと

 デザイナー、雑貨企画、ロフト本部バイヤーを経て94年から雑貨ビジネスコンサルティング&プロデュースを行う。個人店の新規開業サポートから上場小売企業の雑貨売場の監修、老舗商品企業の商品開発プロデュースまで「雑貨」を核とした業務を行なっている。講座「雑貨の学校®」主宰講師。著作『雑貨の教科書』シリーズ(SBクリエイティブ刊)、『雑貨力®』(ビジネスガイド社刊)ほか。

雑貨コンサルタント
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