雑貨の力を最大限活用
「雑貨力®︎」とは筆者の造語(商標登録第6013753号)。雑貨商品、雑貨売場、雑貨関連の企画やイベントなどから生まれる様々な効力のことだ。
話題づくり、集客、店内滞留時間の延長、コト提案のしやすさなど「雑貨」がもたらすメリットは多い。
*本稿での雑貨とは主に生活雑貨、趣味雑貨などを指す。他分野の専門店やセレクトショップが雑貨(商品、売場)を導入する場合を想定。

2022年8月9日繊研新聞「繊研教室」
雑貨は常に注目の的
ご存じのようにSNS、マスコミでよく取り上げられるテーマのひとつが「雑貨」である。
ファッション商品以上にこだわりやトレンド、時代、ライフスタイルを色濃く反映しているのが雑貨。商品本体だけでなく、その商品背景(ストーリー、うんちく)も含めて常に注目されている分野と言えるだろう。
季節や歳時、折々のニュース、を踏まえた柔軟な品揃え提案も人気の理由。
雑貨に対するお客様の好感
「雑貨を見ているとなごむ」「雑貨をきっかけに話が弾む」「雑貨を売ってる店にはつい入ってしまう」など、好意的な感想を持つお客様は多い。
低中価格帯の手頃な値段のものが中心。センス、こだわり、個性、季節歳時感のある商品が目立つこと。小さなサイズが多く(だから雑貨なのだが)狭いスペースでも、豊富な種類を陳列でき、お客様に「何かありそう!」と期待してもらいやすいことなどが理由だ。
雑貨店に気軽に多くの人が立ち寄るのは、それが一種のエンターテイメントだから。お客様は雑貨店で、「新しい」「面白い」「かわいい」「見つけたい」……「欲しい!」と楽しみながら商品を見ている。
臨機応変なセレクトが武器
メーカー直営店などを除くと、特定のブランドやメーカーの商品だけに絞って扱っている雑貨店は少ない。
手間はかかるが、ほとんどの雑貨店が幅広い商品企業から商品を独自にセレクトしている。結果、他店との差別化が行え自店の個性を際立たせることができる。
幅広い分野企業から臨機応変に(小ロット)セレクトする雑貨の売場作りは、近年好調な100円ショップ、300円ショップチェーン店に対抗でき得る手法でもある。
ライフスタイル提案がしやすい
ライフスタイル提案、コト提案をしたい場合、雑貨を加えることにより品揃えに奥行きや幅を出せる。そしてその“すべて”を販売することが可能だ。
例えば、「コーヒータイム」がテーマの場合。マグカップ、カップ&ソーサーなどの食器を中心にしつつ、コーヒー豆自体、コーヒーメーカー関連商品、コーヒーに合うお菓子、コーヒーに関する書籍を品揃えすることなどは当たり前。コーヒーのアロマ(香り)商品やコーヒー色の布製品までも提案することもある。
もちろん自店のターゲット、コンセプトに合っていることが大前提だが、食器、食品、化粧品類、アロマ、小型家電、アウトドア用品、キャラクターグッズ、文具に玩具……縦横無尽にいろんな業界の雑貨商品を扱ってもおさまりがよいのが雑貨売場。
セルフチョイスでありがたい?
雑貨店(売場)と言えば、セルフチョイス(サービス)。来店客が自由に店内を見てまわって、お買い物できるのが雑貨売場の大きな魅力。良し悪しは別として「ほっといてくれる」「あっさりとした接客」というイメージが世に定着している。
少ないスタッフでの効率を追求した結果が、図らずもお客様の心地よさにつながった現象だろう。
もちろんわかりやすい商品POPを適切に配置することなど知恵を絞ったVMDの工夫。入店時のお声がけ、問い合わせや会計時の接客対応をしっかりと行うことが前提だが。
買上点数、客単価アップ
雑貨は、買上点数を増やす。 “衝動買い”はもちろんだが、「これも一緒に」の“ついで買い”。プチギフト他の“まとめ買い”。「はじめての店だけど…」の“試し買い”等の様々な購入機会でお買上点数を増やし売上向上が期待できる。
高利益!?シンプルな仕入契約
雑貨の多くが小ロットの「買取」仕入。飛び込みバイヤーの単発仕入も歓迎する商品企業も散見される。
食品や書籍などに比較すると雑貨商品は高値入れ(仕入れ値、掛け率が低い)なことが多い。ややこしい契約、商習慣も他業種に比較して少ないのが実感だ。
現在、多くの企業が雑貨の企画製造、輸入に参入し仕入先候補も豊富で取引先探しも難しくはない。
雑貨力®︎は、各専門店をはじめ、とした小売企業に刺激とビジネスチャンスをもたらす。
—-
富本雅人
とみもと・まさと
デザイナー、雑貨企画、ロフト本部バイヤーを経て94年から雑貨ビジネスコンサルティング&プロデュースを行う。個人店の新規開業サポートから上場小売企業の雑貨売場の監修、老舗商品企業の商品開発プロデュースまで「雑貨」を核とした業務を行なっている。講座「雑貨の学校®」主宰講師。著作『雑貨の教科書』シリーズ(SBクリエイティブ刊)、『雑貨力®』(ビジネスガイド社刊)ほか。

著作「雑貨力」
https://zakkapower.com/

