雑貨屋さんの業態が変化「StudyRoom」欄_繊研新聞不定期連載コラム 富本雅人

2019年4月16日繊研新聞StudyRoom面講師のコラム&エッセイ

雑貨屋さん。こだわりと売場活用、その特徴

気軽な価格帯の生活雑貨や趣味雑貨(以降:雑貨)を販売する中小のいわゆる「雑貨屋さん」。実はこの10年くらいで業態が大きく変化しているのはご存じだろうか。

その理由として、まずプチプラ雑貨店チェーンの台頭。そして、最近著しくセンスアップした100円ショップ。ファッション店、書店、家具店他の業種店が積極的に雑貨の扱いをはじめたなど、たくさんのライバルが登場してきたことだ。
加えて(メーカー直営他も含)ネットショップとの比較購入もされることが多く、厳しい状況の店舗が少なくない。

2019年4月執筆

他店にない個性が必須

自宅で使うものなら100円ショップの商品で十分。ちょっと楽しむ程度の雑貨ならプチプラ雑貨店でと、賢く使い分ける消費者が増えている。ファッション業界におけるファスト店の台頭と同様の現象と言えるだろう。

そんな厳しい状況にもかかわらず、集客や売り上げを保っているのは強いこだわりのある店。マニアックな商品、本格志向の商品を扱う雑貨店は意気軒昂だ。

筆者の周りでも例えば、ハワイの雑貨に特化した「ALOHA LOVERS」(渋谷区)。フクロウを中心とした動物雑貨の専門店「HooNyanBoo」(奈良市)などは、熱心なお客様に支えられ好調。他店であまり扱われてない商品や本格的な商品を扱う、強い個性のテーマの店は競合も現れにくい。また、本格的なギフト提案にシフトして、ブライダル、ベビー他のプレゼント商品を丁寧にコンサルティング販売して成功する店もある。

そして「雑貨屋さん」を標榜しながらも、まったく異分野の商品にまで扱いを広げて、健闘する店も目立つ。こけ玉やエアプランツの植物。菓子類やパン(!)の扱い。デザイン家電やアロマ商品などの提案と、雑貨とは到底言えないような商品までをも貪欲に取り込み売り上げをしっかりと作る店もあり、その柔軟さ、たくましさは他業種店にとっても参考になるだろう。

ハンドメイド、仕入れずに稼ぐつながりのビジネス

特に筆者が店舗に大きなメリットがあると確信するのは、ハンドメイド作品商品の展示販売。25年も前から紹介している分野ではあるが、最近とみに活況だ。棚単位のミニギャラリーと理解してもらってもいいだろう。

世の手作り、DIYブーム。50万超の作家(出品者)が登録しているというminne(ミンネ)をはじめとする「ハンドメイドマーケットサイト」の認知も手伝い、現在雑貨屋さんと言えば、ハンドメイド作品を販売するお店のことと思っているお客様も多い。

「手作りの1点もの」「見つける楽しみ」「比較的お手頃」「作家や作品が適時入れ替わりいつも目新しい」とお客様にも好評なハンドメイド作家の作品。雑貨屋さんのひとつの「商品」ジャンルとしてすでに定着している。その分野はアクセサリー、 布小物、焼物、皮革作品、近年ではハーバリウムなど実に多種多様だ。多くが雑貨店で商品になり得るもの(クオリティは別として)であり、さらに扱いを拡大するお店も増えた。

作家と言っても、職人、ベテランプロから趣味のアマチュアまでと様々なレベルだが、新たに目立つのは、主婦やOL でありながら制作販売している女性作家達。家事や子育て、仕事の合間を縫って制作に励む作家。世の副業への理解もあり、実利をともなう人気の“仕事”としてマスコミでも取り上げられている。

誰でもが出店販売できるイベントやサイトだけでなく、 センスに定評のある路面の雑貨店で扱ってもらえることは作家にとって一種のステータス。自作への評価が曖昧な作家達にとって願ってもない。予備軍も含めると100万人弱 (筆者推測)のハンドメイド作家。その層の厚さから、今後、より品質の高い洗練された作品商品が作られていくはず。

作家作品は、お客様にとっては他にはない魅力的な手作り商品。ショップ側にはフレッシュで在庫リスクがない (期間限定の委託販売が中心)取引先であり、話題、集客、売上をもたらす商品として魅力的だ。

ワークショップイベントで稼ぐ秘訣

堅苦しい会場やカルチャーセンターではなく、親しみやすい雑貨店の売場の一角で行われる物作り体験他のワークショップは雑貨屋さんのイベントとして好評だ。物作り以外にも、美容、健康、家事、育児などのテーマもあり、バラエティに富む。

参加料は、通常は利益率の高い売上となり、材料や道具は確実な「客注」商品。人気のテーマになればなるほど売上としてバカにならない。

本来お客様と店は商品売買のみのシンプルな関係だが、申し込みから実施までの一連のコミュニケーションがお客様のストアロイヤリティー(店舗愛顧度)を高める。

参加者自身がワークショップの感想をSNSで発信することも多々あり、それは客観的な店のプロモーションとなる。
企画立案、講師探し、告知作業で相応の手間もかかるが、開催の目的を明確にして実施すれば、様々なメリットを享受できるはずだ。

唯一無二の個性があること。貪欲に可能性を試す姿勢。商品を仕入れて売るだけでなく、売場スペースまでをも最大限に活用したビジネスを考えることが雑貨店、ひいては中小小売店の生き残りのカギだ。

2019年4月16日 senken新聞「StudyRoom」欄 不定期連載

ふーにゃんぶー奈良

こだわりの品揃で差別化(写真協力HooNyanBoo)

著者

雑貨コンサルタント® 富本雅人(とみもとまさと)

【経歴】大型雑貨店バイヤーなどを経て、雑貨店開業、運営コンサルティング、ビジネスプロデュース他を行う。上場企業から個人店までの幅広いクライアントに対して「雑貨商品」「雑貨売場」を軸にした指導実績多数。各公的団体主催セミナーなどでの講演も行う。講座「雑貨の学校®」主宰。著作「雑貨の教科書」(SBクリエイティブ刊)は版を重ねるロングセラー。雑貨・ギフト・ライフスタイル業界を俯瞰して理解できる近著「雑貨力®」(ビジネスガイド社刊)が好評。HP雑貨コンサルタント

富本雅人のプロフィール
プロフィール雑貨コンサルタントの富本雅人です。個人経営の小規模な雑貨ショップから大手関連企業までに対して、開業、運営コンサルティング、商品企画、雑貨ビジネスプロデュース他を行います。業務キャリア30年超。デザイナー、雑貨メーカー((株)スモ
タイトルとURLをコピーしました