雑貨屋さんならではの販促ツール
新聞連載「富本雅人の雑貨販売のツボ7」ラッピングとPOP
どちらかといえば、あっさりとした接客が主流の雑貨販売。だが、人気のある店舗には、その淡白な接客を補ってあまりある、お客様の心に訴えかける仕掛け(販促手法、ツール)がある。
雑貨屋さん、雑貨売場のPOPのルール
POP(ショーカード他)*は雑貨売場のキモ。セルフチョイスが中心の雑貨販売においては、価格、使い方などをスタッフに替わって雄弁に語ってくれる頼みの綱の“販売員”だ。
POPは「手書きでないと」、「凝った名文でないと」「苦手だ…」などいろんな思い込みが先行してしまいがちだが、まずは自店のコンセプトや商品に合ったスタイルを考えたい。
例えば手頃な価格の若者向けのにぎやかな雑貨売場。欧米ブランドのスタイリッシュな雑貨商品を扱う店舗。前者は手書きで楽しく親しみやすい表現。後者はモダンで知的な表現がマッチするだろう。
用紙、画材(PC使用か否かも)、サイズの展開、表現内容(文体、箇条書きか長文か)を決め、統一感をもたせる。商品単体のPOPの内容は、商品名、価格、生産国、ブランド等の基本情報に加え、その商品の新たな使い方の提案、感想(お客様やスタッフの)、商品背景、蘊蓄(うんちく)などを伝えることが効果的。
もちろん制作にかける手間も忘れてはいけない。制作に時間がかかりすぎて、接客販売がおろそかになるようでは本末転倒だ。
*POPとは:point of purchase(advertising)の略。購買時広告。店内でのポスター、添付チラシ、商品や陳列什器(店内の家具。棚やテーブル、ケース)に添えられたカード状の広告のこと。編集提案したコーナーの解説やキャッチフレーズ。単体の商品説明、価格表記カードなどのこと。ショーカード(商品解説)、プライスカード、告知POP、案内POPなど。
関連ページ(雑貨の学校)
ラッピングの工夫とフォーマル対応
現在、雑貨店では「袋入れ」の簡単な包装が主流。比較的、中低単価な商品が多いため、自宅用(自分使い)のお客様に了承していただきやすいことと、省資源目的の簡易包装に対する理解が広く浸透していることが理由。今後もこの傾向は大きく変わらないだろう。
一方、「雑貨屋さん」ならではの、こだわりの包装、ギフトラッピングを楽しみにしているお客様も多い。例えばハワイ雑貨店のハイビスカスの造花をあしらった華やかなラッピング。アンティーク調の雑貨店のワックスペーパーの味のあるラッピングなど、アイディアや工夫にあふれた独特の雑貨屋さんらしいラッピングが好評である。
印象に残るラッピングは時に店の有能な宣伝マンとなり、来店の動機に繋がる。プレゼントを買う時に洒落たラッピングの店を選びたいのは誰しも当たり前の感情だろう。
また、最近では気軽なプレゼント(カジュアルギフト、プチギフト)だけでなく、フォーマル(冠婚葬祭、中元歳暮など)なギフトに雑貨売場の商品を選ぶケースも増え、その要望に応えられるよう、贈答作法を踏まえた包装を行う雑貨店も目立つ。
店頭や商品陳列(VP)のアクセントとして、ラッピングの見本を展示して、自店のラッピング方法をアピールするとともに、「そういえば◯◯へのプレゼントが…」「ここではこんな包装をしてくれるんだ」とお客様に気づいてもらう、覚えてもらうことも大変効果的だ。
無料が基本のラッピングだが、その購入目的とラッピングの内容が見合えば、別料金(数百円まで)を惜しまないお客様はたくさんいるということも付け加えたい。ギフトラッピングに関しては無料、有料、または両方のバリエーションなど自店にあういろんな方針(とコスト計算)で、決定すればいいだろう。
雑貨店のレジ袋有料化は
(web追加) レジ袋有料化規制、実施(2020年7月1日)直前の現在(6月28日執筆掲載)、多くの店が対応策を検討済み。コンビニ、スーパーでおなじみのプラスチック製のレジ袋(持ち手付き)を、有料とする、という国の規制。全ての小売店が対象。有料化対象のレジ袋を使っている使っていないを問わず、この機会に自店のラッピングの仕様やコストと手間を整理点検する店が少なくない。
例として、
自宅用、ギフト用包装ともに無料→ギフト包装は有料
自宅用は無料→有料(有料化対象外も)
ギフト用有料→見直して金額を値上げなど
自店の粗利益(儲け)に対しての資材コストのバランスや作業効率を踏まえて設定したい。
(雑貨コンサルタント/グループオンザリビング)
繊研新聞2010年5月25日掲載分に加筆修正
はじめる雑貨屋さんにも詳しく
拙著「新版はじめる雑貨屋さん」にも詳しい説明があります。
POP、ショップバッグ、ラッピング、販促ツールをつくろう
SP(SalesPromotion ) とは、販売促進のこと。ショップにおける集客アップ、売上狐大のための業務のことで、より多く売るための仕掛け、仕組みを指す。
ここではショップ内で使用する消耗品( POP 、プライスシール、ラッピング用品)、備品などをSP ツールと定義し、考えていく。
良いSPツールとは、まず機能的であること。この他に、丈夫で長持ちす る(強度がある) か、読みやすいか、扱いやすいかを考えよう。加えて、ショップのイメージ、コンセプトに合うデザイン、スタイルであることも重要だ。もちろん、コス卜面にも気をつけたい。
POP もスタッフの一員
POP (Point Of Purchase :購買時広告) は、「物言わぬスタッフ」と呼ばれる。それは店内で商品やショップの各種情報をスタッフに代わってお客様に伝える役割を担っているからだ。
具体的には、ショーカード(商品説明) 、プ ライスカード(価格表示)、店内告知( お知らせ) などで、そのどれもがお客様に対して、商品やショップの情報を伝える役割を果たす。
○案内サイン
コーナ一、商品、各種サービスなどを案内するためのもので、お客様をスムーズに誘導することが目的。売り場、コーナー単位での表示が基本だが、広めのショップでは全体のレイアウ卜図なども有効だ。○プライスカード
すべての商品に関して添付することが前提。金額の「わかりやすさ、読みやすさ」が必須。見間違えやすい、読みにくいものは厳禁。○プライスシール、値札
こちらも正確さ、読みやすさを心がける。プレゼントの場合、シールを……はじめる雑貨屋さんより「はじめる雑貨屋さん」より抜粋
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